組合の新しい取り組み

GNSS測量機器の導入

 衛星測位システムは、英語のGlobal Navigation S atellite Systemの頭文字から「GNSS」と表記されます。GNSS衛星には、QZSS(日本)、GPS(アメリカ)、GLONASS(ロシア)、Galileo(EU)等があります。
 日本のみちびきは、日本の上空に長く滞在する準天頂軌道の衛星が主体となって構成され、2018年11月から4機運用されています。みちびきはアジア・オセアニア地域のみを対象とするためRNSS(Regional Navigation S atellite System)に含まれる場合もあります。

技術情報1

 DGNSS(ディファレンシャルGNSS)方式は、位置の分かっている基準局と位置を求めようとする観測点で同時にGNSS観測を行い、基準局で観測したデータを無線等を用いて観測点へリアルタイムに送信し、基準局の位置成果に基づき観測点の位置をリアルタイムに求めることができます。
 両点で単独測位を行い、基準局において位置成果と観測された座標値の差を求め、観測点に補正情報として送信します。

 DGPSは1~3mの誤差で位置が決定されます。

 引用:国土交通省 GNSS測位とは https://www.gsi.go.jp/denshi/denshi_aboutGNSS.html

 

 

 

 滋賀北部森林組合は2022年9月からDGNSS方式を採用した携帯型測量機「Geode」を令和3年度に滋賀県の補助事業を活用して導入しました。

 写真:GNSS受信機Geodeと受信したデータを記録するスマートフォン

 

 従来の測量方法はポケットコンパスを用いて測量していましたが、ポケットコンパス測量はコンパス機器を使用する者とレーザーを照射する反射板を持つ者の2者が必ず必要になり、レーザー照射間に立木等の遮蔽物がある場合測量ができないなどの欠点がありました

 写真:ポケットコンパス測量風景           

 GNSS測量はのポケットコンパスを用いた測量方法と比較して、測点間の距離計測や下刈・野帳記入の一部省略等が可能なほか、現地計測の所
要時間が半分以上短縮されたという使用者の声もあり、効率的な測量業務が期待されます。

写真:GNSS測量風景

 GNSS測量を導入して約1年が経過しましたが、従来のコンパス測量に比べて、格段に効率がアップしたと実感しています。従来のレーザーコンパスでは、レーザーの通り道の遮蔽物を気にしたり、地形の急な斜面のような危険な箇所での作業の安全性が確保が難しいことがありましたが、GNSS測量ではこれらの作業効率や作業の安全性の確保が容易になったことがされることが一番のメリットだと感じました。

 また、レーザーコンパスは方位を測位する際、獣害柵や鉄塔、手持ちの携帯電話やバッテリーのような金属に反応して測量誤差が大きくなり精度が悪い測量になってしまうデメリットがあり、精度によっては再測量することもありましたが、GNSS測量ではこれらのデメリットが解消されました。

 ただし、メリットばかりではなく当然デメリットもあります。GNSS測量で一番感じるデメリットは捕捉する人工衛星の数が少ないと測量精度が悪くなってしまうということです。人工衛星の捕捉数は地形にかなり依存します。受信機から上空に見える人工衛星のみ捕捉する為、山間部では上空が開けた尾根付近の測量精度は良いですが、深い谷部では精度が悪くなってしまいます。

 実際に測量してみると、森林組合の事業所駐車場(平野部)で35~40機、開けた尾根部で30~35機、山林斜面:25~30機、谷部:20~25機となります。

 DGPS方式の測量は測量誤差は現在1~3mほどありますが人工衛星の数は今後は人工衛星の打ち上げ数も増加して捕捉数や精度が向上することが期待されます。


 また、施業集約化などの事業で測量したデータは森林所有者様に下にあるような図面とデータでお渡しすることが可能となり、山の境界を残すことが可能です。

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画像:GNSS測量で作成した測量図面とデータリスト